「奈津はいつになったら名前で呼んでくれるワケ?葉原のことは、名前で呼んでるのに・・・。」



少し拗ねたような寺内先生がかわいくて、ついつい吹き出す。



「名前で呼ぶの恥ずかしいけど・・・頑張るね?紘基?」



「っ!・・・不意打ちズルい・・・。」



そう言って顔を赤らめて、下を向く紘基。



「あ!信号変わったよ!」



「もうさ、俺を惑わす天才になったよね。奈津は。」



「・・・そんなこと言ったら、寺内先生だって、私をドキドキさせる天才ですよ。」



「あ、寺内先生に戻った。しかも敬語。残念・・・。」



「あ〜、うぅ・・・。慣れない・・・。」



どうしても、クセでこうなっちゃうんだもん。



「・・・まぁ、ゆっくりでいいよ。どうせ苗字は『寺内』になるだろうし。」



「〜〜〜〜さりげなくそんなこと言わないで!」



「本気だから。俺、付き合ってって言ったときに、『結婚を前提に』って言ったから。」



いきなり本気の目をして、私を見てくる紘基に、私は微笑む。



「当たり前だよ。私だって、紘基と『結婚を前提に』付き合ってるよ?」



「・・・あ〜、かわいすぎ。」



そう言って私にキスを落とす紘基。



少しだけ長いキスのあと、私たちは目を合わせて笑いあった。