side 佳音


結梨亜ちゃんが話してくれたことは、すごく衝撃的で、重かった。



何も言えない私とは違って、なっちゃんは、結梨亜ちゃんを黙って抱きしめた。



「・・・よく耐えてきたんだね。」



なっちゃんのその言葉に、結梨亜ちゃんの目から堰を切ったように涙が溢れた。



なっちゃんは、何も言わずに、ただただ結梨亜ちゃんを抱きしめて、背中をさすっていた。



2人の間に、医者と患者以上の何かが、生まれたような気がした。



_______________結局、30分ほど結梨亜ちゃんは泣き続けて、なっちゃんの腕の中で寝てしまった。



なっちゃんは、結梨亜ちゃんを寝かせて布団をかけると、その場にしゃがみ込んだ。



私が慌てて駆け寄ると、顔色が悪くて、今にも意識を失いそうになっている。



「なっちゃん!とりあえず意識は保ってて!寺内先生呼ぶから!」



私はナースコールを押して、寺内先生が来るように伝える。



1分もしないうちに、息を切らして寺内先生が病室に入ってきた。



「たく・・・無茶して・・・。」



寺内先生はなっちゃんを優しく抱き上げると、こっちを見た。



「菊池、ありがとな。あとで原因は聞くから、患者の方見てやって。」



「はい。なっちゃんを頼みますね。」



寺内先生は軽く頷くと、なっちゃんに優しく声をかける。



・・・お似合いな2人。



素直に、そう思った。