その日、私は当直明けで、疲れていた。



重たい体に鞭を打って帰ろうとしたとき、慌てたような佳音ちゃんの声がした。



「なっちゃん!!大変だよ!」



「佳音ちゃん?どうしたの?」



「結梨亜ちゃんがいない!」



「・・・え!!ほ、本当に?!」



「さっき、暁十くんが様子を見に行ったら、病室に誰もいなかったって・・・。」



そんなこと・・・。



「とりあえず、佳音ちゃんは他の先生たちに連絡して。私、院内をとりあえず探してみるけど、もしいなさそうだったら外行ってみるから!」



「なっちゃん?!無理は・・・。」



「わかってる!結梨亜ちゃんが見つかったら連絡入れるから!」



佳音ちゃんが言いたいことは、わかってるよ。



『無理は禁物』って言いたかったんだよね。



私が、当直明けで、体調が優れないことにも気づいていたから。



だけど、結梨亜ちゃんのピンチに、そんなことは言ってられないよ。



私は、小児科のある5階から院内を探し始めた。