俺は、思いっきりメシを吹き出しそうになる。



なんとか飲み込んで西荻の方を見ると、林檎のように赤くなった顔と、真剣な目が見える。



俺は、ゴクリと唾を飲み込む。



これは、チャンスかもしれない。



「西荻?」



「・・・な、なんですか?」



俺は何も言わずに、西荻を抱きしめた。



腕の中で、西荻がパニックになっているのがわかる。



「俺も。西荻のこと、好きだ。」



細い体に回した腕に力を入れると、西荻がゆっくりと顔をあげる。



「・・・本当、ですか。」



上目遣いで、しかも真っ赤になって言われると、俺もちょっとヤバい。



かわいすぎるんだよ。西荻は、いちいち。



「俺が嘘でこんなこと言うわけないだろ?」



そんなに器用な奴じゃないって。俺は。



と、西荻のクリクリとした目から、ポロリと涙が零れ落ちた。



待って、待って。泣かれたら困るって!



「お、おい!何か痛かったか?力が強かった?」



「へへっ・・・違いますよ。・・・嬉しくて、泣いちゃっただけです!」



そう言って、泣き笑いの顔を見せてくる西荻。



・・・何でそんなにかわいいワケ?



泣いた理由が『嬉しくて』って・・・。



俺を更に惚れさせて、どうしてくれんの?



「西荻・・・俺の、彼女になってくれますか?・・・結婚を、前提に。」



「はいっ!もちろんです!」



そう言って、満面の笑みを浮かべる西荻に、そっと口付けを落とした。



絶対・・・この手は離さない。