保健室の窓ガラスは、全て割れて吹き飛んでしまい、ガラスの破片が俺に掛からないように、翼を広げた蓮が俺の前に、立ちはだかっている。

保健室は、半壊し、破壊された保健室の外には蓮と、同じく、白い翼を持った天使が現れた。

「 お前は…。」

蓮が呟く。

どうやら、相手の天使は、蓮の顔見知りのようだった。

その天使は、黒ブチ眼鏡を指先で摘み、蓮の姿を頭から脚先まで、物色するかの様に眺め見ている。

「 ほう。これはこれは、珍しい! 」

「 こんな所で、かつての天使様に会えるとはな! 」

「 っっ! 」

蓮は、会いたくないヤツにでも、あったかのように、顔をしかめる。

「 今では、その、天使様も、天界を追われる、お尋ね者だが、こんな所( 人間界 )に隠れていたとは!」

次の刹那、相手の持っている、杖が大きく縦に振りかざされた。
その杖からは、勢い良く風が吹き出され、蓮めがけて襲って来る。

まるで、竜巻みたいな勢いの風が、蓮の身体を吹き飛ばす。

何度も何度も、ヤツは杖で風を操り、その度に竜巻のような、強い風に吹き飛ばされている蓮。
「 っっ…。」

なすすべのない蓮は、全身のあちこちを壁に打ち突けて、相当なダメージを受けている。

「 れ、蓮! 」

( 蓮には、ヤツと同じ力はないのか??これじゃあ、一方的な、嬲り殺しじゃないか!! )

俺は、蓮に駆け寄り、黒ブチ眼鏡の天使に言った。

「 俺と、勝負しろ! 」

「 何!? 」