凛斗には、表彰式のときに少しだけ話したと嘘をついた。 本当は咲良が死んでしまった後、あの冷たい部屋の外で話しただけ。 しかもほぼ一方的にわたしが。 だから覚えてなくて当然。 もうきっと会うこともないと思っていた。 咲良にいって会ってみたいと思っていたけれど、その咲良はもうこの世にはいないから。 わたしと彼を繋ぐものはなにもない。 ただ、わたしはそれでも彼に会ってみたかった。