その日の夜、私はちょっと気持ちが楽だった。
自分の分だけの夕飯を作り、溜めておいたDVDを見ようと思っていた。

二十二時を回った頃、インターホンが鳴った。

「誰?こんな時間に・・・」

そう思い、ドアの覗き窓を見た。
そこに立っていたのは社長だった。
ドアを開けて社長を招き入れた。

「社長、どうされたのですか?」

「つばさの気持ちを聞きに来た」

私は困った表情で社長を見つめた。

「帰ってください、私は社長には相応しくありません」

「相応しくないって、誰が決めたんだ」

社長は私を引き寄せ抱きしめた。
そして、頭では駄目と思いながら、身体は社長を求めていた。
抱きしめてくれたあの夜が蘇り、身体が熱くなるのを感じた。

社長は私の唇を塞いだ。
熱く、烈しく、熱烈に、そしてベッドに身体が沈んだ。
首筋から鎖骨へ、社長のキスは止まらない。

「つばさ、俺のものになれ」

「駄目です、私は・・・」

言葉で抵抗していても、身体は言うことを聞かない。
社長のキスに甘い吐息が漏れて感じていた。

「つばさ、俺の名前を呼んでくれ」

「恥ずかしいです」

「大丈夫、俺の耳元で囁いてくれ」

「剱」

「つばさ、最高だ、俺のマンションで一緒に暮らすぞ、いいな」

私は頷いていた。