その日の夜時間はすでに二十二時を回っていた。

「今日も来ないかな」

私はなぜかほっとしていた。

「お弁当の下ごしらえしよう」

何故か二人分用意していた。
そう、社長との昼休みを楽しみにしている自分がいた。

そんな時インターホンが鳴った。
目黒くん?
ドアを開けると、そこに立っていたのは社長だった。

「社長?」

「目黒来てないだろ?上がってもいいか」

「あっ、はい」

そう言って社長は部屋に入ってきた。

「また、目黒連絡ないのか、俺が食ってもいいよな」

「まだ、ご飯食べてないんですか」

「ああ、旨そう、じゃ、頂きます」

社長は当たり前のように私が作った料理を平らげた。

「ご馳走様でした」

社長は、私がお皿を片付けていると、後ろから抱きしめてきた。

「つばさ、目黒と別れて、俺と付き合ってくれ」

社長は私の首筋にキスをした。
ビクッと身体が震えて、社長は私を自分の方へ向きを変え、そのまま唇が重なった。

「つばさ、お前は俺のものだ」

そして私はこの夜、社長と身体を重ねた。
でも社長とも結ばれない運命と思っていた。

朝、私はお弁当を作り、社長を起こした。

「おはよう、つばさ」

「おはようございます、早く支度しないと会社に遅れますよ」

「毎朝起こしてほしいな、つばさ、俺のマンションに引っ越して来いよ」

「そんな急には無理です」

「そうかなあ、じゃ明日にしよう」

「はい? だから急には・・・」

社長は私の言葉を遮った。

「決まりな、明日土曜だから引っ越し頼んでおくから」

「もうすこし時間ください」

「わかった」

社長は私にチュッとキスをした。