私は飛鷹建設株式会社に勤務する三十八歳。
地味で目立たなくひっそりと生きてきた。
ところがある日、中途入社で一人の男性が私の所属する総務部に配属になった。

「今日から総務部に配属となりました、目黒侑斗と申します、よろしくお願いします」

彼は大学卒業後入社した会社を一年で辞めており飛鷹建設株式会社に中途入社している。

「立花、面倒見てやれ」

えっ？私？
もう人見知りなのに、一番苦手。

「先輩、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

挨拶もそこそこにまずは社内を案内することにした。

「質問ありますか？」

「先輩、彼氏いるんですか」

いきなりその質問？

「あの、そう言う質問じゃなくて、会社の事とか・・・」

「でも一緒に働くわけで、俺にとっては重要かな」

「目黒くんいくつだっけ？」

「二十五です」

「若いね、私は一回りも上だから目黒くんから見たら対象外よ」

私は大きなため息をついた。
彼は大きく深呼吸をして、私を見つめ言葉を発した。

「先輩、対象内ですよ、俺の彼女になってください」

私は突然の申し出に目を丸くした。

「からかわないで」

「からかってないですよ」

彼は一歩一歩私に近づいてきた。
そして壁を背に身動き出来ない状態になり、彼に抱きしめられ、そして耳元で囁く。

「今日からつばさは俺の彼女な」

私は何が起きたのかすぐに理解出来なかった。