僕は、もう1つの異変に気づいた。

確かに両手にしっかりと握っていた筈の、天使の羽が無くなっていたんだ。


「羽が…ない…。」


久しぶりに声を出して、更にびっくりした。

あの、しわがれた声ではなく、天使のような滑らかな、奏でるような声になっていたんだ。


「これ…僕の声?」


もう1度、声を出してみたけど、その声は、やっぱり天使そのものだった。