「ねぇ、どうして泣いていたの?」


僕は答えなかった。

代わりに、天使にたずねた。


「君は、僕が悪魔だってわかっているの?」


すると、天使は落ち着いて答えた。


「もちろんよ。だって羽が黒いし、涙も赤紫色をしているもの。
悪魔の涙なんて、初めて見たけれど…。」