蒼の想いを聞いてから、すぐにでも真子の意見を聞きたかったが、結局約束できたのは翌週の週末。

真子も、葵の様子から事故の時以上の何かがあったのだと感じた。時々、ボーッとしていたり、深刻な顔をしている葵が気になってしょうがない。ただ、ストーカーの時とは違い、何かに脅えている訳ではない様なのでそこは安心している。本人の口から真相を聞くしかない。

先に仕事が終わった真子は、家に帰り葵が来るのを待っている。おつまみになる物を用意し、後は葵が飲み物を買ってきてくれる事になっている。

終業時間から2時間程経った頃、
『ピンポーン』と真子の家のインターホンがなった。

「は~い」

「葵です」

「今開けるね」

ドアを開けると、
「真子、ゴメンね~遅くなっちゃった」

「珍しいね」

「定時で上がるつもりがギリギリに仕事を頼まれて」

「そっか。お疲れ様」

「ありがとう。これ」と、コンビニの袋にいっぱいのアルコール。

「凄い量だね」

「えへへ」っと笑う葵に、今夜は長くなりそうだと思う真子だった。