「「「お疲れ様でした」」」と本番終了後にスタジオに響く声。

片付けを終えた日比谷が蒼に向かってやって来る。

「天音さん。って、何か堅苦しいな。蒼くんだっけ?」

「はい。蒼って呼び捨てにして下さい」

「じゃあ、蒼。俺も好きに呼んでくれ」

「はい。じゃあ、蓮さんと呼んでもいいですか?」

「もちろん。で、初めてうちの番組の現場を実際に見てどうだった?」

「はい。生放送の現場って、裏では何かしらバタバタしている事が多いのに、皆さん凄く落ち着いていてビックリしました」

「そうか。それは、皆、長年共にしている仲間だから、もし何かあっても誰かがフォローしてくれるって安心感だろうなぁ」

「凄いですよね。僕もその中に入れるでしょうか?」

「もう、入ってるよ。変に気負わず始めよう」

「ありがとうございます。ただ、本番を見ていて、自分にはまだまだ知識が足りないと実感しました」

「最初から何でも知っている人なんて、面白くないよ。番組を通して共に成長出来たらいいんだよ。それでも、不安があれば、早めに局に来れる日は、アナウンサー室の俺の部屋を訪ねて来てくれ。アドバイスするよ」

蒼は、更に蓮に対して尊敬の念を覚えるのだった…