この恋シークレット   ~アイドルと運命の出逢いをしました~

葵の目の前のステージが照らされた。

葵の緊張は最高潮。

と、隣から「プッ」と吹き出す声が聞こえた。こんなに煩い中でもなぜか鮮明に聞こえた笑い声。葵は思わず声の方を見た。

「蒼、露骨だな」と日比谷アナの呟き。

葵には全く理解できずにいると、葵の周りが一際歓声に包まれた。

次の瞬間、葵の目線より少し下のステージから、2年振りの実物の蒼が登場した。

そして、交わる視線…


2年前と同じ時間(とき)が止まった気がした。


一瞬のことだったが、ふたりには充分だった。


お互いがお互いの気持ちを理解した。


蒼は、あとは精一杯コンサートを遣りきるだけ。

葵は、最後までコンサートを見守るだけ。


ふたりの時間が重なった瞬間だった…