「面白い人ですし。少し天然っていうのかな?人から勘違いされやすい人だっていうのは分かります。
きっと昴さんなら上手くやれる場でも不器用だからそつなくこなすのが苦手なのかなーって…だから誤解されやすくって生きずらそうだなぁとは思うけど。
それに昨日だって幽霊騒ぎで怯えてる私の為に一緒に確認までしにいってくれて、自分だってすっごく怖かった癖に。
今度映画のスピンオフに出演するんですよね?ワンシーンだけだって言ってたけど、持っていた台本はボロボロになってたから真剣に仕事をする人なんだって分かりました。
それに演技をするのは好きなのは一目瞭然だし」
何故か坂上さんはとても優しい笑みをこちらへ向ける。まるで自分の事のように嬉しそうだ。
「何だかホッとしちゃった」
「え?」
「真央くん静綺ちゃんにいっつもきつく当たってるから大嫌いだったらどうしようかなって…」
「いやそれはまぁ…」
好きじゃないけどさ…。悪い人じゃないって事は分かる。
「それに少しだけ私…姫岡さんの気持ちが分かるんです。
私も自分の気持ちを素直に出すの得意な方じゃないから…。それに人からも見た目で怖そうとか誤解されがちだし」
「静綺ちゃん良かったら撮影の現場に行かない?」
「え?!」
それは意外なお誘いだった。
「真央くんの映画の撮影。寮も大分片付いて仕事もしやすくなってきたし、たまには外に出て僕のお仕事のお手伝いしてよ」
「でも…私邪魔じゃありません?」
「そんな事ないよ。それに静綺ちゃんが現場に来てくれたら真央くんも喜ぶと思うし」



