「さっき混ぜご飯美味しいって言ってくれたから…。
豚ひき肉と小エビのおにぎりなんです。カルシウムたっぷりで栄養価も高いんです。
昴さんお忙しいと思うから……」
きょとんとした顔をする昴さん。あわわ、失敗してしまっただろうか。少しだけ調子に乗り過ぎただろうか。
考えてみれば現場に行ったら豪華なお弁当が沢山あるのだろう。何という出過ぎた真似を…。
けれども昴さんは優しく笑って、私の頭をポンっと撫でた。
「ありがとう。嬉しい。有難く頂くね。静綺ちゃん優しいね。じゃあ
行ってきます!」
きゅうううううううううん。
頭ポンってされたぁ!あの大滝昴に頭ポンって!
女の子の憧れるシチュエーション3位までに絶対入るやつされたぁああああああ!
「まさかお前………昴がタイプなのか?」
「テレビとかでは見たことなかったんだけど、実際に会ったらすっごく素敵な人でびっくりちゃった!」
ガンッ
「私優しくって柔らかい雰囲気を持っている人って好きなんですよね」
ガンッ
「それに芸能人なのに俺は芸能人だ!って全然偉そうにしてなくって感じが良すぎ」
ガンッ
「それに姫岡さんともすごく仲が良いんですねッ
って!!!何倒れてるんですか?!」
何故か隣にいたはずの姫岡さんが床に白目向いて倒れていた。魂が抜けきったような顔をして…。
やっぱり変な人だわ。
そんな姫岡さんを放っておいて、さっきまでの奇跡のような出来事に酔いしれる。



