ぜんっぜん仲良くなんかない。けれど昴さんの王子様スマイルを見ていると、自然に頬が緩んでいく。思わず彼に向ってヘラっと笑ってしまった。

姫岡さんは慌てて昴さんの方へ向きなおると、「ぜんっぜん仲良くない!」とさっきの言葉を否定した。


確か姫岡さんは176センチで、昴さんは185センチ。姫岡さんだって十分大きいのだけど、見上げる形になってチッと大きく舌打ちした。身長コンプレックスは昴さんがいるからか…。

そりゃあ同じ事務所に居て、同じ仕事をしていてそれが同い年だったら比べてしまうもんな。

「俺がこんなブスと仲が良い訳ねぇだろ。それにこいつは全然女らしさの欠片もなくって色気もない。
大体このブスが俺と釣り合いが取れる訳ないだろ?」

ふふんと得意げになってこちらへ生意気な笑みを向ける姫岡さんに、思わずムッとする。

こっちの方が御免よ。この意地悪ヘタレ男と仲が良いなんてありえないわ。こいつは昨日幽霊だと思った昴さんを前に私を盾にした男だ。

今思い出しただけでも沸々と怒りが沸いて来た。

「ブスって……。相変わらず真央は口が悪いなぁー…。
静綺ちゃん全然ブスじゃないじゃん。綺麗だし可愛い」

にこりとこちらへ微笑んで言ってくれた言葉がお世辞だとしても構わない。

ぶっ倒れそうな位嬉しい。神様…このまま死んでも悔いはない。こんなにかっこいい彼が私のような下々の者にとびっきりのスマイルをくれるのだから。

しかし直ぐに悪魔は私を現実に連れ戻す。