「昴は誰にでも良い顔をする。あれくらいお世辞だと分かれ」
「べ、別にお世辞だって分かってますよ!あんたに言われなくっても!」
「身の程を知れ」
「充分すぎる程わかってますよぉーだ!」
ベッと舌を出して横に立つ男を威嚇する。耳元でギャーギャーと騒ぐ。
全く少しは昴さんを見習ったらどうかしら?確か同い年よね?同い年とは思えない程子供染みている。
昨日だって偉そうに私に幽霊が怖いなんてガキだと散々罵ったくせに、いざとなったら私の手を子供みたいに握りしめて腰を抜かして…。
思い出しただけでもウケる…。
「お前――!何を笑っていやがる!」
「いやだってあんた…昨日びっしょり汗をかいてぶるぶる震えてるもんだから。お化けが怖いなら素直に怖いって言えばいいのに」
「何をッ!この俺がお化けを怖がるわけねぇだろ?!お前でもあるまいしッ
大体俺は未知の生物を全く持って信じちゃいねぇからな」
「あんな真っ青な顔をしてた癖に」
ふふんと鼻を鳴らしてからかうと、顔を真っ赤にして怒る怒る。こいつ…やっぱり面白すぎる。ギャップがありすぎるのよ。演技をしている時はあんなにかっこいいのに。
姫岡さんをからかって遊んでいると、ダイニングテーブルから立ち上がった昴さんがキッチンまでやって来た。
不思議だ。この人が歩くたびにキッラキラと光りが飛び散るように見える。
「仲良いんだー。真央と静綺ちゃん。珍しいね、真央が女の子と仲良くしてるなんて」



