けらけらとからかいながら笑う瑠璃さんを前に、私は真っ赤になってしまった。それと同じくらい目の前にいる男も美しい顔を歪ませて、真っ赤になる。
そしてご飯茶碗を乱暴にテーブルへ叩きつける。
瑠璃さんは驚いた表情をして、豊さんはその喧騒にも動じることなく無表情でご飯を食べ続ける。
「瑠璃、何馬鹿な事を言っている。
こいつのどこが可愛いんだ……!
猫みたいに吊り上がった目をしやがって、鼻だって魔女みたいな鼻をして、顔も可愛くなけりゃどう見たって性格も悪そうだろ?!
俺がこんなに苦手なのを知っていて毎日毎日人参料理を食卓に出しやがって!」
人聞きの悪い事を言う。人参は体に良いのだ。それにわざとではない。
それに人のコンプレックスをよくもまあずけずけと言って退けるものだ。
「そうですよ!瑠璃さん、何か勘違いしてますッ。豊さんも!
私、姫岡さんみたいな女みたいな顔大ッ嫌いですし、それに性格も苦手ですッ。
私のタイプは大滝昴さんみたいな優しい雰囲気のイケメンで…」
そこまで言うと、何故か姫岡さんはテーブルに突っ伏して動かなくなった。変な奴。さっきまで私の悪口を散々言っていた癖に、自分が言われると嫌だとか…。どこまでメンタル弱いんだろう。
「最近姫岡さんの出ているドラマとか見てるから…」
「あ!そうなん?瑠璃も真央ちゃんのドラマ全部見てるんだよー。
演技をしている時の真央ちゃんってかっこいいよねぇ~!」
「演技をしていなくたって俺はかっこいい!」
テーブルから起き上がった姫岡さんが何か言っていたが、それは無視をして瑠璃さんと話を続ける。



