【完】スキャンダル・ヒロイン


「全然。寧ろ姫岡真央かっけーって思ってましたけど?」

「はぁ?!」

「私は芸能人にも興味がなかったし、ドラマや映画もあんまり見ないタイプの人間なんですけど…
すっごく楽しかったし、考えさせられる事が沢山ありました。
それに姫岡さんって演技がすごく上手なんですね。どんな役にも入り込んでいて、プロなんだなぁ~って改めて感じちゃったし
凄い人だって思いました。演技で人を惹きつけられるってすごい才能だと思います。」

無言のまま姫岡さんは私へ背中を向けてしまった。

何か気に入らない事を言ってしまったのだろうか。焦って彼の前まで回って、姫岡さんの顔を見上げたら………

視線を宙に浮かせた姫岡さんの顔は耳まで真っ赤になっていた。思わずブッと吹き出すと、手足を子供みたいにジタバタさせて地団駄を踏んだ。

「もしかして照れてます?」

「は?何故俺がお前のような素人の評価を聞いて照れる必要がある?
フンッ。演技の事を何も分かっていないド素人の癖にまるで専門家の如く語りやがって。
それに俺に人を惹きつける魅力があるのは当たり前だ。なんてたって俺は超超超人気イケメン俳優の姫岡真央だからな。
お前のような一般人とは元々の出来が違う」

相変わらず一言も二言も多い所は変わらない。けれどいくらカチンと来る事ばかり言ってきても、姫岡さんの才能は本物だろう。

「私…姫岡さんが高校生役を演じたラブコメ好きです…」

「そうかそうか。実はあの映画は今度違う役者で何年後っつースピンオフ作品をやるんだよ。
俺もあの監督の映画は好きだし、今度特別出演つーので撮影に出るんだ。まぁ頼まれて仕方がなく出てやるからほんのワンシーンだけどな!」