事務室を片付けていると、そこには所属タレントの出演するドラマのDVDや映画のDVD。そして写真集が山積みだ。
それにしてもどうしてこう荷物が多いのだろう。そして整頓されていない。
ひとつひとつ片付けて行き、棚に収納していく。
それにしても世の中にはこんなにドラマや映画があるものなのか。全く興味がなかったが、世の中には沢山の作品が溢れかえっている。そしてドラマや映画といった架空の世界を私達は視聴して、ドキドキしたり、悲しくなったり、嬉しい気持ちになったりするのだろう。
そしてそれを演じる演者たち。…やっぱり私とは全然世界が違うよなぁ。
俳優に限った事ではないが、グラビアイドルの瑠璃さんや、お笑い芸人の豊さんだって…私から見れば全く別世界の人。ファンに夢を売る人達なんだ。
ぼんやりとドラマのパッケージを見ている。
笑顔で写る2人の男女。確か…女の子の方は若手だけど有名な演技派女優と言われている可愛い子。そしてその隣で無邪気な笑顔を見せるのは、姫岡さんだ。
「静綺ちゃん」
「ひっ!」
いきなり声を掛けられて振り返ると、そこには汗だくになった坂上さんがスーツ姿で立っていた。
「驚かせちゃってごめんね。何かボーっとしてたから。
それにしても大分片付いて来たね!前なんて足の踏み場もなかったから、静綺ちゃんありがとう!」
「いえいえ、私は仕事ですから。
それより暑かったんじゃないですか?今冷たい麦茶でも持ってきますね。」
「わぁーありがとう。助かるぅー」



