テレビの中には爽やかなイケメン。緩くパーマを充てた茶色の髪の先まで美しい。芸能人ってどうして誰もかれもここまで整っているのだろうか。
甘いルックスで犬みたいに真ん丸の瞳が特徴的などこからどう見てもかっこいいとしか言えない男性。
そういえば身長も185センチあるそうだ。どうしてここまで彼について詳しいかと言うと、グリュッグエンターテイメントの事を調べれば調べる程彼の情報が入って来るのだ。それ程事務所の期待を背負っているタレントなのだろう。
「なんだお前……昴みたいのが好きなのか?趣味が悪ぃな」
テレビに目を向けたまま悪態をつく。
「別に好きって訳じゃないけれど…やっぱりかっこいいですよねぇー…。人気あるのが分かります」
チッと分かりやすい程に大きな舌打ちを響かせて、再びこちらへ睨みをきかせる。
「ほんっと趣味が悪ぃ…。こいつこそ女好きの変態野郎だぞ?」
「嘘だ!」
「本当だよ!俺は昴とは10代の頃からの付き合いなんだ。
全く女つーのはこういう優しそうな雰囲気の男に直ぐ騙されるからな。
フンッ」
それだけ言い残し勝手にテレビを消して、姫岡さんは食堂から出て行ってしまった。
全く何を考えているんだか…。確かに大滝昴はかっこいい。たっくんもそうだけど、私は好みの男に身長は関係ないのだ。
どこか柔らかそうな雰囲気を持っている人が好きなのかもしれない。…姫岡さんだって黙っていれば大滝昴に負けない位かっこいい人なのに…。
どうして彼は仕事をする気にならないんだろう…。



