ガーン。私って平均身長よりも7センチも高いんだ…。
絶対女の子は小さい方が可愛いのに。
あからさまにショックを受けている私を見て、姫岡さんは口をへの字に曲げて不服そうだ。
「お前身長何センチ?」
「165センチ……」
「俺の方が11センチ高い」
ふふんと誇らしげに鼻を鳴らす。いや、そこは男と女だしね。それに私は小さくなりたかったよ。しおりも150センチくらいの小柄な女の子だった。
絶対にモテる女の子は背が小さいのだ。大は小を兼ねるなんてことわざは絶対に身長には適応しないと思っている。
はぁーとため息をついてサイトに再び目を向けると、姫岡さんは不思議そうな顔をして言った。
「いいじゃねぇか、デカい方が」
「別にデカくて得をした事なんてないし。
大体私は小学校までは背の順は1番前だったくらい小さい子だったんですよ。
それが中学の3年間で一気に20センチ近くも伸びて」
「おお…!俺も昔は1番前だったぞ?!
あれ嫌なんだよなぁ。背の順で並ばすなって」
「そうそう!確かに1番前って嫌ですよね。変に目立つし」
「だよなぁ?あんなん公開処刑と一緒だぞ?!」
ふたりで背の話を和気あいあいとしていて、互いにハッとする。
嬉しそうに時たま見せる笑顔は………いつもの不機嫌そうな顔と全然違って、ほんの少し子供っぽくて…けれども甘い。
その顔を見る度に、この人が人気芸能人だと言う事を思い出させる。
思わず笑ってしまったのが相当気まずかったのか、姫岡さんはいつも通りの仏頂面を浮かべて視線を逸らせた。
私も私で何を楽しそうにこいつ話し込んじゃってるのか…。非常に気まずい。



