棚橋 静綺(タナハシ シズキ) 21歳。大学4年生。たった今失恋したばかり。

まずは、その私のどうしようもない失恋話を聞いて欲しい。

きっかけは今目の前でわたしを慰めてくれている親友の星月 律(ホシヅキ リツ) こと’りっちゃん’である。

りっちゃんは小学校からの幼馴染で、大学までずっと一緒の親友。大学に入ってそれぞれ何人かのグループが出来て、私達は主に4人グループで行動を共にしていた。

その中でもりっちゃんは昔ながらの友達で1番の親友だった。

そして先程私と修羅場を繰り広げていたしおりは、大学に入って知り合った女の子。グループ自体は違ったが、明るくて優しい性格のしおりとは恋の相談をしあったりしていて、信頼のおける友達ではあった。

そして大学4年の春に行われた合コンで私はりっちゃんの友達だという近くの大学に通う男性に一目ぼれしてしまった。


それがたっくんこと、影井 拓馬(カゲイ タクマ)である。身長は私と同じくらいでお洒落でやんちゃそうで可愛らしい。正に私のタイプの男の子だった。

りっちゃんは「どこがかっこいいの…?」とえらく疑問に思ったらしいが、私は元々自分と背丈が同じくらいの可愛らしい男の子が昔から好きなのだ。

そこで番号交換をして、たっくんも私を陰で良いと言っていたらしく順調に恋は上手く進んでいたかと思う。

たっくんは電話やラインで私へ耳にとても心地良い言葉をくれた。