自分で言っておいて、ちくりと胸に痛みが走る。
たっくんに振られて、しおりのように可愛らしい顔になりたいって。あれは半分冗談だったけれど、半分本気だ。
まぁ顔を変えた所でたっくんが私を選んでいたかは不明だけど。
「えぇ~静綺ちゃんなんて全然整形する必要ないでしょ~?綺麗系の顔だし」
「確かにお前には整形が必要かもしれないな。
まぁ整形したからと言ってブスが普通レベルになる位無駄なもんには違いないだろうけどな」
振り返らなくても分かる。こんな嫌味を言う人間なんてひとりしかいない。
そしてこの何とも特徴的な掠れたハスキーな声。
振り返ると、勝ち誇った顔で笑う姫岡さんの姿があった。
「ちなみに俺は整形はしていない。そんなものは必要ないからな」
「はいはい。そりゃーようござんしたね。掃除の邪魔だから出て行って下さいねー…。
今私は仕事中なので」
もう無視しよう。この人はこういう人だって諦めて、無視するのが1番だ。
けれども、姫岡さんは中々出て行ってくれなくて床を雑巾で拭いている私を見下したように馬鹿にして、偉そうに立っている。
「もぉ~…真央ちゃん、邪魔するの止めなよ~…」
「あ?!瑠璃だって邪魔しているだろうが!何でお前がよくて俺が駄目なんだ!」
「全くガキなんだからさー」
「俺がガキならお前はババアだろうが」
「口が悪いよー真央ちゃん!そんなんだと女の子にモテないよ?!」
「へっ!女になんかモテたくもないね」



