「静綺ちゃんアレは山際 豊つーの。一応お笑い芸人やってるんだけどね。
愛想悪い奴だけど害はないから安心して…」
噂の売れないお笑い芸人さんか。意外だ。まだ結構若そうだけど、中々のイケメンだし俳優さんかなんかだと思っていた。
お笑い芸人なのに…あんなに暗いんだ。人を笑わす職業をやっているとは到底思えないけれど…。まぁ姫岡さんだって世間では爽やかで好感度の高い俳優で売っているのだから、テレビで見ている姿だけが全てではないって事か。
「うちで暮らしているのは私を含めて5人で、他は帰って来たり来なかったりする人間が数名いるだけ。
思っているより大人数じゃないからそこまで大変だとは思わないけど、困った事があったら私に言ってね?」
「はぁ………」
山之内さんはチーフマネージャーという役職があるから、会社でも上の方の人なんだろう。
年齢は不詳だがしっかりとしていて姉御肌っぽくて良い人そう。
瑠璃さんや坂上さんも優しそうで問題なし。豊さんはよく分からないけれど、害はなさそうだ。
…問題は――――。
「お前、姫岡真央と一緒に暮らしてるとかSNSで自慢すんじゃねぇぞ?!」
こいつ…。
「誰がそんな事!」
「俺と暮らせるのが嬉しくって隠し撮りしたりすんなよ?
お前みたいな一般人が入り込んできてこっちは迷惑してんだから!
大体こんなおんぼろ寮で数人しかいない芸能人の面倒なんか見る必要ねーだろ!
子供じゃねぇんだから飯も自分で食えるだろーが!
お前なんて必要ねぇんだよ!!」



