きょろきょろと辺りを見回すと、ブスっと不機嫌そうな表情を浮かべる姫岡さんの隣にこれまたにこにこと笑う優しそうな30代くらいの小太りの男性がいた。…この人が売れないお笑い芸人の方か。
そして端っこで興味無さそうに皆の輪から離れ雑誌を読む、長い黒髪の男性。…あの人は…。
姫岡さんの隣にいた男性がハキハキとした声でこちらに向かい声を掛けてきた。
「静綺ちゃん、初めまして!
僕は坂上 丈って言います。真央くんのマネージャーですがここでお世話になっているんです。どうぞよろしくね!仲良くしようね!」
小太りの30代位の男性は、姫岡さんのマネージャーだった。
そうか…姫岡さんほどの売れっ子俳優ならば専属のマネージャーが居て当然か。
坂上さんは冷房のよく効いている部屋だというのに額に粒のような汗をかいていて、それをハンカチで拭い柔らかい笑顔を向けた。
大丈夫。この人とも上手くはやっていけそうだ。
「こちらこそよろしくお願いします」
「おい、坂上さん、こんなたかがバイトと仲良くする必要ねーって」
だからこいつ…何でここまで私を敵視するわけ?!私あんたに何かしたっけ?!
そりゃー…浴室だと知らずに勝手に入って裸を見たのは悪いとは思うけど…。
何でここまで意地悪な言い方されなきゃいけないの?
「ちょっと!豊も挨拶くらいしなさいよ!」
山之内さんの声が室内に響いて、端っこで雑誌を見ている長い黒髪の男はちらりとこちらへ視線を向けた。
お、結構イケメン。猫背気味のままこちらを見やるとぺこりと頭だけ下げて、直ぐに見ている雑誌へと目を落とした。
ふぅと山之内さんが小さくため息を吐く。



