「そんなんもう痛くないでしょ?
あんな力で殴られたくらいで大袈裟に言っちゃって。
それとも姫岡さんは男の癖に軟弱なんですかね?!」
「なんだと?!誰が!」
「何よ!」
互いに相手に駆け寄り、フンッとそっぽを向いた。
「あ~あ~これからこんなブスの顔見て生活しなきゃいけねぇと思うと憂鬱だなー」
「それはこっちの台詞!あんたの嫌味を聞いて生活していかなきゃいけないなんて精神止みそう~」
「この、ブスが!貧乳!短足!」
いちいちムカつくな…。小学生男子の悪口かよって。
「まぁお前も俺のようなイケメンの男と暮らせて心の中では浮かれ切っているんだろう?
でも、ま…俺は極上の美人じゃなきゃ相手にしないから変な期待は持たない事だな?」
ふふんとまるで勝ったと言わんばかりに生意気な笑みを浮かべるもんだから、再びぶん殴りたくなる。
確かに姫岡さんはイケメンかもしれないけれど…
「ぜんっぜんタイプじゃない!」
「女っぽい男嫌い!」
「名前まで女みたいで気持ち悪い!」
「自分をイケメンと言ってしまえるほどナルシストな男も大嫌い!」
また怒り狂うかなと思ったけれど、ふと彼の方を向くと床に腕をついてぶるぶると震えていた。
どうやらショックを受けているらしい。…こいつまさかメンタル弱すぎ?
そして顔を上げたかと思ったら「てめぇ…」と恐ろしい程美しい顔でこちらへ怒りをぶつけてくる。
立ち上がって人の部屋の壁を足で殴ったかと思えばこちらを向いて睨みを利かす。