【完】スキャンダル・ヒロイン


本音を言ってくれて、そこまで自分を曝け出してくれたしおりを責める気になんか今更なれなくって。

そういう所をお人好しだと言われるのかもしれないけれど、やっぱり私はしおりを嫌いにはなれなくて。

「いいんだよ。しおりがハッキリと本音を言ってくれて嬉しかったし。
それにきっかけはそういう事だったとしても、今はたっくんの事ちゃんと好きなんだよね?」

その言葉にこくりとしおりが頷く。
それならば安心だ。

「たっくんはこんな私の事もちゃんと受け止めてくれるから…」

「それなら、良かった…。
私ももう全然気にしてないから、仲良くしてよ…。
逆にハッキリと言ってくれて嬉しかったよ。嫌いって言われたのはショッキングだったけど」

「嫌いっていうのは言葉の綾っていうかなんていうか…
ただただ羨ましかったんだよ」

「私って絶対しおりに羨ましがられる人間じゃないと思うんだけど…
だってヘタレだし…実は馬鹿だし…」

「確かにそういう所はある…。でもそれが愛すべきキャラって事で!」

「そんなキャラ嫌だよー!」

互いに顔を見合わせて笑い合ったら、もう私達は大丈夫だと思った。
しおりは仲が良かった頃と同じ笑顔を見せてくれた。
それはしおりが勇気を持って本音を言ってくれたお陰だ。

「静綺ーーー!!」

りっちゃん達がロビーにやってきて、私を呼ぶとしおりは「じゃ」と言ってその場を去って行く。

その背中を見送りながら、何かを言い忘れている事に気づく。