しかししおりが私を嫌いだったなんて、想像もした事がなかったんだけど。
だって彼女はいつだって私に明るく接してくれて、優しかったから。だからりっちゃんから夏休み中に告げられたしおりとたっくんが付き合った経路を知った時は驚いたけれど。
「へ、へぇ~…私はしおりが好きだけれどね」
たっくんの事があったとしても、私はやはりしおりが嫌いにはなれない。あれはもうどうしようもない。人の気持ちの移り変わりなど誰が責められようか。
「そういう所…嫌いだった…」
再び嫌いと言われて、ショック。
そういう所ってどういう所だろう。けれどりっちゃんからしおりが私をよく思っていないと聞いた時もショックだった。
知らないうちにしおりを傷つけるような事をしていたら、私は最低だ。
「静綺は優しすぎるよ。私、本当はたっくんなんて初めはちっとも好きじゃなかった!」
いきなりのカミングアウトに開いた口が塞がらない。
「別に譲でもたっくんでもどっちでも良かった。
きっと静綺がたっくんとさっさと付き合ってたら譲と付き合ったと思うし…。
ただただ静綺が不器用にでもたっくんをすっごく好きなのを知ってて、たっくんが私を好きになったのを知ってざまあみろとか思った。
だって静綺狡いんだもん。いっつも素の自分で居て、周りから好かれてて…でも私は静綺とは正反対だから女の子の友達も少ないし、昔から女の子からは嫌われてた。
だからそんな静綺がずっと嫌いだった。たっくんと付き合ったのだって静綺が好きだったから優越感に浸りたかっただけだもん」



