雨は降ったり晴れたり不安定な空模様。こういう日に傘を持っていっても、帰る頃には雨も止んでいていて更にうんざりしてしまうのだ。

しかも講義の時間とバスの時間が合わずに、30分も早く大学へ着いてしまう。こんな日は踏んだり蹴ったりなのだ。

仲の良い友達はまだ誰も大学に到着しておらず、知らない学部の人達がいる大講堂に行く気にもなれず大学内のロビーをうろうろして掲示板を見つめている時だった。

「あ…」

ばったりと会ってしまったのは、しおりだった。
ばっちりと目が合ってしまって、ここで会話をしないのも不自然な感じになってしまった。

「お、おはよー」

「おはよう…静綺」

大学が始まって授業で会う事があったけれど、何となく会話はなくってこうやって改めて話すのはあの花火大会以来だった。

というか…しおりは誤解したままになっている。私と真央が付き合っているという事。改めて会った時にきちんと事情を説明して、誤解は解いておかないとと思っていた。

真央は芸能人でもしもしおりが花火大会の出来事を誰かに言ってしまったら、彼に迷惑がかかる。あれは真央は私の為に演技をしてくれたのだから。

私はとっくにしおりとたっくんの事は吹っ切れていた。もしも真央に出会わなかったら、今でもしおりと上手く話しは出来なかったかもしれない。

「何か話すの久しぶりだね。」

「だね、花火大会以来?あの時も結構ごちゃごちゃしててあんまり話は出来なかったけど…」

「あはは~…そうだね」

あのさ。そう切り出そうとした時だった、先にしおりが口を開く。