「はーいオッケーです。姫岡さんありがとうございましたー」
バラエティ番組は事務所の方針として中々出しては貰えなかったけれど、評判は良い。
姫岡真央って実は馬鹿だったんだ。と書き込まれてへこんだけれど…。俳優として生きて行くのならば、素の自分を出したって良い。
「真央くんバラエティの出演すっごく評判良いんだよ」
「どーせ馬鹿にされてんだろーがッ…。昴のように気の利いた事も言えねぇからな」
「その素の真央くんがギャップがあって可愛いって新規のファンになってくれた子も沢山いるんだよ~。
真央くんは愛嬌があって可愛いからねぇ」
「男に可愛いとか言うんじゃねぇ!ぜっんぜん嬉しくねえよ!」
まぁ実際には評判は良いのだ。
男としてかっこよくありたかったけれど、テレビを見てる人間つーのはそのギャップがたまらんとか言い出す。
勝手に人のイメージを決めたのはお前らだろうと文句のひとつも言いたくはなるが、バラエティのプロデューサーからも番組に起用したいという話も上がっている。
演技以外の仕事だって、もしも静綺が見ていてくれるのならば何でも挑戦しては行きたい所。
結局は俺の頭の中をいつまで経っても支配するのは、あの女なのだ――。
何度も連絡をしようとは思った。
けれど携帯の画面を見ては消して、きっと静綺は俺の事なんてすっかり忘れてしまっているんだろう。
大学生活を楽しんで、もしかしたら昴との恋も進んでいるかもしれない。
そんなの、邪魔出来ないだろう。邪魔する権利なんて俺には無い。



