元気~?の一言くらいあってもいいじゃないか。
ダイニングテーブルで余裕な姿で珈琲を飲む昴をぎろりと睨む。

お前は……お前はきっと毎日のように連絡を取ってるんだろうな?
もしかして昨日の夜遅かったのも、あいつに会いに行ってたとか?
俺の知らない所で密会を重ねている訳じゃねぇだろうなぁ?!


つーか…お前らずっといい感じだったよな?はたから見れば恋人同士にも見えたし、お似合いだった。だから俺は何も言えなくなって、ふたりの仲良さげな姿を遠くから見つめる事しか出来なかった。

でもきっと昴なら静綺を大切にしてくれるだろうし、静綺だって昴から好きになられたら断る理由なんてないだろうし。

でもどうかと思うぞ?!お前は今売り出し中の人気俳優であって、スキャンダルはいかがなものかと思う。

「連絡は、取ってるよ?」

顔を上げた昴が余裕の微笑み。何を俺の心の中を読んでいやがる。…その微笑みは女にとってはたまらんものかもしれないが、俺にとっては悪魔の微笑みにしか見えないぞ?

「静綺ちゃんは元気そうだよ?」

聞いてねぇ!!

「真央も気になるなら連絡してみればいいのに」

「誰も気になるとかひとつも言ってねぇ!
坂上さん仕事行くぞッ!」

そう怒鳴り散らすと、坂上さんは白いエプロンを取って慌てて準備を始めた。

誰が自分からそんな事を。もう昴と付き合ってるかもしれない女に、何故自分からわざわざ惨めになりにいかなくちゃいけないんだ。