【完】スキャンダル・ヒロイン


「昴さん……」

「ん?」

「私昴さんに好きだと言って貰ってすごく嬉しかった。
昴さんはいつも優しくって穏やかで、芸能人なのに分け隔てなく接してくれて…
いっつも素直に自分の気持ちを言葉にしてくれて…私の欲しい言葉を全部分かってくれているみたいで」

「俺は芸能人っていう職業じゃなかったとしても静綺ちゃんに出会っていたら恋をしていたと思うけど?」

「だからこそ…ハッキリと自分の気持ちで応えたいと思ったんです。
私を好きだと言ってくれるのは夢のように嬉しくてすごくドキドキしたんですけど…
ごめんなさい。
それでもやっぱり私はこの先も昴さんと付き合う事は絶対にないです。期待を持たせるような事はさせたくないから、ハッキリと言わせて下さい。
私には好きな人がいます。その人の事以外考えられません」

怖くてぎゅっと目を瞑る。でもこれが正直な答え。素直な想いだ。
頭をぽんぽんと優しく撫でる。

再び目を開けた時、視界に飛び込んできたのは顔をくしゃくしゃにさせて笑う昴さんの姿だった。

芸能人大滝昴ではなくって、素の昴さん。その笑顔を見てぎゅっと胸が締め付けられる。

「まさかこの俺が振られる日が来るなんて…って真央みたいな事を言ってみるけど…
ありがとう。正直に言ってくれて。」

「本当ですよ、私って馬鹿だ…。昴さんみたいな素敵な人を振っちゃうなんて…」

「もうそういう事言わないでよ。諦められなくなっちゃうじゃん。
ごめんな。断られてるのに困らせるような事ばかりしちゃって…。
本当はずっと無理なんだろうなぁーって分かってたんだけどね」