プールで遊んでから庭先でバーベキューをする。その間も真央の隣にはずっと岬さんが居て、私は少し離れた場所から仲良さそうに顔を寄せ合うふたりの事ばかり見ていた。
ふたりを見ていたら、ずっとモヤモヤした気持ち。この気持ちの正体はもう知っている。
これはヤキモチって言う奴だ。
けれどりっちゃんは昴さんたちと話していてとても楽しそうだし、この雰囲気を壊したら駄目だよね。
それに真央と岬さんが付き合っているならば、それは笑って受け入れなければいけないんだ。
プールで遊んでバーベキューをして、持ち込んだ花火で皆で遊んでいたらすっかりと夜は更けていった。
虫の声と夏の終わりの涼しい風が肌を掠めて、改めて夏が終わるんだと再確認する。
「真央~花火怖い~火つけて~?」
「うるせぇな、お前はッ。そんくらい自分でつけろ」
「もう酷い~。わぁー見て見て。超綺麗だし~」
「はいはい。綺麗だなー」
「もうちゃんと見てよー!ねぇ真央、あれもしたい!」
ふたりで同じ花火を持って、キャッキャッとはしゃぐ姿を見てただただ’羨ましい’と感じる。岬さんはもう誰から見ても真央が好きだという素直な気持ちが溢れていて、あんな素直な女の子には到底敵いそうにない。
皆から少し離れた場所で、ひとりぼっち。線香花火に火をつける。
小さな光がバチバチと揺れて、また切ない気持ちになってしまう。
ひとりぼっちでこんな所で拗ねていたって何も変える事は出来ないのは分かっている。
けれど何か行動に移して、今を変える事はもっと怖い。憶病な自分にはもううんざりしきっているのだが…。



