「確かに素直じゃない人みたいだね。静綺にそっくり!」
「は?」
「素直じゃない上に鈍感だからな、この人もあの人も」
その話に豊さんが入って来る。するとりっちゃんと豊さんが顔を見合わせて笑う。
一体何だって言うんだ。
プールには浮き輪やビーチボールも用意してあって、皆でプールの中に入って遊んだ。
すっごく楽しくなって水着の恥ずかしさにもすっかりと慣れてしまった。
今年の夏はバイト三昧で夏らしい事は余り出来なかったけれど、最高な想い出は出来たと思う。
けれどやっぱり切ない。
さっきから真央は岬さんとばかり居る。
その姿も会話も恋人同士にしか見えないし、お似合いだからこそまた切ない。
「真央ここ足がつかない~!」
「何だよ~肩でも掴まっとけよ」
「は~い!」
「おいあんまり体重乗せるんじゃねぇよッ!」
「何~?くっついてるから照れてんの~?真央は照れ屋だからねぇ~」
「は?馬鹿じゃねぇの?」
何、このラブラブぶり。マジでムカつく。あ!そんなにべったりくっつかないでよ…!触らないで!
えぇ?!何向き合ってふたりで浮き輪の中に入っちゃってんの?!
…でもまるでテレビの中の映像を見ているみたいにお似合いで、ふたりで居る事に遜色がない。
「ちょっと水かけないでよぉ~」
「うるせ」
「相変わらず意地悪だなぁ~!えーい!」
岬さんの体が真央へと密着する。胸が当たっている…。それに動じる事もなく当たり前にくっついている。
やっぱり…付き合ってるんじゃん。違和感のないふたりを見て、この恋心は更に惨めになっていく。



