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寮に帰ったら2台の車が既に寮前に用意されていた。ひとつは真央の車で、もうひとつは昴さんの車らしい。

そして真央と昴さんを前にしたりっちゃんは、一瞬目眩で倒れそうになった。

「静綺ちゃんの友達なんだ。可愛い子だね。」

「そ、そ、そんな!!私大滝さんの大ファンなんですッ。ドラマも欠かさず見ています!
後でサイン下さい!」

「勿論。こんな可愛い子が俺のファンなんて嬉しいな」

隣に居たりっちゃんの目はハートマークになっていた。
頬を赤く染め上げて、瞬きは異常に多くて口をぽかんと開けたまま。

全く昴さんって誰にでも’可愛い’って言うじゃないか。そりゃりっちゃんは私よりかは全然可愛いし、そう考えたらあの告白が本気だったかもにわかに信じ難くなってきた。

りっちゃんの肩に手を充ててじろりと見つめたら、昴さんは私にもその優しい笑顔を向けた。

「あ、今誰にでも可愛いとか言うって思ったでしょ?」

ぎくり。
どうやら私の心はすっかりと見透かされているらしい。

「可愛い子に可愛いと言うのは男として礼儀だと思っているから。
でも誰にでも’好き’とは言わないよ。今は静綺ちゃんにしか言わない。
だから律ちゃんも俺の恋応援してね?」

バチっとウィンクをすると、りっちゃんは今にも倒れそうに私へしなだれかかった。

「勿論ですぅ~…私もふたりの恋を応援してるんですぅ~ずっと昔から~」

「はは、嬉しい。律ちゃんも俺と仲よくしてね?」

「勿論ですぅ~…」