それは心からの言葉だった。
嬉しくって顔のニヤケが止まらない。
真央も何だかんだ言ってはにかんでいるし、楽しみなんじゃないだろうか。

「スイカくれ」

横に置いてあったスイカを手に取って渡そうとすると、「違うって」と言って真央は私の腕を支えるように掴んで、身を屈めて私の食べかけのスイカにかぶりつく。

口の端から垂れた汁を舌ですくい上げて、こちらを見上げて意地悪な顔をして微笑んだ。


そ、それは間接キスだし。思いがけない上目遣いはヤバい。ドキドキする。絶対今私顔が真っ赤だ。

「ちょ、ちょっと…新しいのあるじゃん。何で食べかけ…」

「人の持ってるもん程旨そうに感じるもんだ」

そう言って種を私の顔にぷっと吹きかけた。げらげらと笑って怒る私の頭を小突いた。

「汚いなぁーーー!!!」

知らないくせに。

あんたの何気なく取る行動にこんなに気持ちが揺れて、動揺している私がいる事に。
腕を掴まれる事も、顔を近づくことだって、私の気持ちを知らずにやってるんでしょう?

グリュッグエンターテイメントに就職すれば?なんて、このままこの寮で栄養管理の仕事をすれば…なんて

そんな願いが叶ったらどんなに良かった事か。これから先もあなたの近くで、あなたを見つめられたら…どれだけ幸せだっただろう。