「だからさ返事はもう少し保留にしておいてもらえない?
真央のスタジオに連れて行ってあげる代わりって事で。
だって静綺ちゃん俺の事まだ何にも知らないでしょ?これからもっと知って行って欲しい」
確かに昴さんの言っている事は当たっている。でも交換条件を出すなんて…やっぱり黒王子。
ニヤリと口角を上げて笑う姿を見逃さなかった。
けれど私の気持ちはきっと変わらない。
こんな素敵な人に好きになって貰えた人生最良の日だと言うのに、私の心を掴んで離さなかったのは人生最悪の日に出会った男だった。
この気持ちが片思いでも構わない。
届いて欲しいなんておこがましい事は願わない。
私はただあんたがいつでも生意気に笑って、王様みたいに偉そうにしていてくれて…大好きな演技を心の底から楽しんでくれたら良い。
残された時間の中でただただ真央の姿を見つめていたい――。