つらつらと名を連ねる共演者の名前を流し読みする。その中には私でも知っているような名脇役の大物俳優も何人かいた。

それよりも私の目についたのは、昨日知ったばかりのとある芸能人の名前だった。

「南条…岬…」

ぼそりとその名前を口に出すと、横に居た真央が明らかに動揺する様子が見られた。

彼女の名前は並んで5番目に書かれていた。結構重要な役であるのは間違いない。そしてその人は私が昨日ネットで検索をかけたばかりの、日本を代表するアイドルグループのエース。そして真央の元彼女だと昴さんは言っていた。

「あぁ、知っているのか」

「まあ知ってますよ。大人気アイドルグループの1番人気の子よね?
すっごく可愛い顔してる子だもん…」

なんて、昨日昴さんから真央の元彼女だと聞くまで知らなかったけどさ。
何故か真央は惚けた顔をしたまま「俺はあんまり知らねぇけど人気みたいだな」と言う。

どの口が言っているのだろうか?元彼女ならそりゃー知り尽くしているでしょう?何を名前は知っているけど?みたいな態度な訳?

って、まさか……このドラマに乗り気になったのって南条岬が共演者の中にいるからじゃないの?まさかまだ…未練ある?

そういえば’好きな人がいる’ってこの間言っていた。それって…このフラグ…?

「へぇ、面白そうな話だね」

「この監督はラブコメが得意なんだけど、人物描写が繊細でそれがまた良いんだ!
ラブコメなんだけどシリアスなシーンもあってだな」