気のない返事をして神妙な顔つきになる。何かを考え込んだ後に、言いずらそうに口を開く。
茶色の瞳を真っ直ぐと向けてジーっとこちらを見つめる真剣な顔つきは、何故か照れくさい。調子が狂う。いつも通りお調子者の彼とは対称的に、時たまこういった真剣な表情を向けられるとこっちだって調子が狂ってしまいそうになるのだ。
「お前は……
どうして人の事を自分の事のようにそうやって喜べるんだ…?
どうして他人の気持ちにそうやって寄り添う事が出来るんだ?」
「え?だって好きな人の嬉しい事は自分の事のように嬉しくなるのは当たり前じゃないの?」
言った途端真央は顔を真っ赤にさせて、片手で顔を隠すように覆う。
自分でもするりとその言葉が滑り落ちてしまった事に、数秒後に気づく。思わず口を押えて、ちらりと真央の顔を見ると彼はティシャツの襟もとを仰いで「熱い…」とぼそりと呟いた。
私何を失言してしまっているんだろう。’好きな人’って!これじゃあ私が真央の事を好きだと言っているようなものじゃないか。
「す、好きっていうのは…そ、そのそういう意味じゃなくって…
そんな事を言ってしまえば私は瑠璃さんや豊さんだって好きだし…
ふ、ふたりがテレビに出ていたら当たり前に嬉しいって事で…」
だから何を言い訳染みた事を。
言っているこっちが熱くなってくる。れ、冷房入ってるよね?夏だからって言うのもあるけれど、やけに暑い。
この間からずっとおかしいんだ。真央の一挙一動に心を揺らしてみたり、動揺しちゃって…。昴さんのかっこよさにドキドキするのとはちょっと違う。
これは…これって、この気持ちは…。考えれば考える程頭がこんがらがってくる。



