「それにしても真央って本当に彼女いないんだねぇ。私には考えられないくらいモテるでしょう」
「まぁな。」
いちいち嫌味な奴。
「でもどうしようもねぇ女と付き合って世界拡げたって仕方がねぇし。
俺は彼女にするなら心から好きになった女と付き合いてぇ。
それに俺は―――好きな女がいる」
立ち上がり真っ直ぐと前を見てはっきりと告げた。
強く、鋭い視線。いつもはふざけた態度ばかり取るくせに、こうやって時たま真剣な眼差しを向ける。
私、最近こんな真央に振り回されっぱなしだと思う。
ありえないよ。私の事が好きだなんて。勘違いして、ひとりで暴走したらそれはそれで恥ずかしいし…。
周りは色々言うけど…好かれている自信なんてない。きっと胸がこんなに張り裂けそうな程ドキドキしているのだって、花火大会のせい。
かたりと浴室から物音が聴こえて、昴さんがお風呂から出てきたのが分かった。
投げられた視線を逸らして、真央に背中を向ける。
「そう、きっと真央から告白されたら大半の女の子なら落ちちゃうんじゃないかな?
あんた間抜けで馬鹿だけどかっこいい所もあるし、やる時はやる男だからね。
じゃあ、私もお風呂に入るから…お先……」
ちくりと胸が痛んだのは、勘違いで合って欲しい。
真央には好きな人がいる。きっとその人は私の想像が追い付かない程に素敵な人だろう。