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長い夏休みが始まって、私は都内にあるとある建物の前に来ていた。
すこーしだけ寂れている5階建ての灰色の鉄筋の建物は、周りに木が生い茂っていてどこか不気味だ。
春香から送られてきた住所を頼りにやって来たが、ここで間違いがないのだろうか?何度住所を確認してみても、ここで間違いはなさそうだ。周りは住宅街に思えるし、何でここに一角だけ大きく不気味な建物が立っているのかいささか疑問ではあるが。
春香から紹介された住み込みのアルバイトの時給は破格だった。時給に目が眩んで詳しい内容は聞いていなかったが…今更になってそれを後悔し始めてきた。
とにかく不気味なのだ。人から避けるように木が青々と生い茂っていて鬱々とした気持ちになる空気感だ。…お化けでも出るんじゃないのか。
仕事内容な至って簡単な物だった。朝と夜のご飯作りである。そしてその他諸々と…。その他諸々が気になる所だが、私は大学で栄養学科を専攻している訳でその点ではうってつけのバイトなのである。
就職も両親の伝手でとある施設に内定を貰っていた。だからこそ大学4年生の夏休みに悠々自適にアルバイトが出来るって訳だ。
太陽の光が全く入ってこなそうな建物の入り口をやっと見つけると、そこには小さな小窓があり強面のおじさんが顔を出してこちらを睨む。
造りはチープそうに見えるが中々頑丈な警備体制ではある。
「あの…棚橋静綺と申します。
今日は面接でやってきまして…」
「おう」
何とも態度の悪い警備員さんである。ひとつもにこりともせずに中へ入れと視線で促す。
長い夏休みが始まって、私は都内にあるとある建物の前に来ていた。
すこーしだけ寂れている5階建ての灰色の鉄筋の建物は、周りに木が生い茂っていてどこか不気味だ。
春香から送られてきた住所を頼りにやって来たが、ここで間違いがないのだろうか?何度住所を確認してみても、ここで間違いはなさそうだ。周りは住宅街に思えるし、何でここに一角だけ大きく不気味な建物が立っているのかいささか疑問ではあるが。
春香から紹介された住み込みのアルバイトの時給は破格だった。時給に目が眩んで詳しい内容は聞いていなかったが…今更になってそれを後悔し始めてきた。
とにかく不気味なのだ。人から避けるように木が青々と生い茂っていて鬱々とした気持ちになる空気感だ。…お化けでも出るんじゃないのか。
仕事内容な至って簡単な物だった。朝と夜のご飯作りである。そしてその他諸々と…。その他諸々が気になる所だが、私は大学で栄養学科を専攻している訳でその点ではうってつけのバイトなのである。
就職も両親の伝手でとある施設に内定を貰っていた。だからこそ大学4年生の夏休みに悠々自適にアルバイトが出来るって訳だ。
太陽の光が全く入ってこなそうな建物の入り口をやっと見つけると、そこには小さな小窓があり強面のおじさんが顔を出してこちらを睨む。
造りはチープそうに見えるが中々頑丈な警備体制ではある。
「あの…棚橋静綺と申します。
今日は面接でやってきまして…」
「おう」
何とも態度の悪い警備員さんである。ひとつもにこりともせずに中へ入れと視線で促す。



