Act Side真央  Is this love?




ほーんとおかしな女だ。

棚橋静綺との出会いは数か月前にさかのぼる。いきなり俺の所属するグリュッグエンターテイメントの寮に現れたと思えば
アルバイトとしてこの寮の家事全般を任される事になる。俺は始めそれに大反対だった。

ミーハーで頭の軽そうな女子大生を芸能事務所の寮に入れるなんて。でも山之内さんは大のお気に入りだったみたいだし、他に寮に住んでいる人間からも慕われていた。


棚橋静綺。21歳。栄養学科を専攻している大学4年生。

吊り上がった猫のような大きな瞳に、魔女みたいな鼻は…一般的には鼻筋が通っていて外人みたいに高い鼻。

茶色のふわふわとしたセミロングの髪の毛。女にしては身長が高くって、気の強そうで生意気そうな顔をした…まあまあ綺麗な女だった。

最初は嫌悪感でいっぱいだったけれど、俺が人気俳優であると知っても特別扱いはしてこない。それどころか生意気にも俺に反抗してきて、口答えばかり。…男としては全く意識されていない。


この頃の俺と言えば、周りから特別扱いされるのにほとほと疲れ果てていた。評価して欲しいのは演技だったのに、見た目でばかり評価されてあることない事言われて芸能界にも嫌気がさしてきた頃。

そんな時だ。君に出会ったのは――。

子役時代から芸能界に身を置いて、子役ブームの火をつけた。舞台女優をしていた母親の血をひいて繊細で美しい顔立ちをしていると昔から言われ、子供の頃からちやほやされ続けた。

でも俺がテレビの仕事を頑張れば、母親も事務所の大人たちもそれはそれは喜んでくれた。
昔は素直だった俺は、素直に周りが喜んでくれるから、一生懸命芸能の仕事を頑張ってきた。