「静綺だって今日は楽しむ為にここに来たんだろ?それならそんなつまんなそうな顔すんなって…!
それにしてもすっげぇ目立つ浴衣だな…。それに派手な化粧。
お前はさーただでさえ目立つんだから、もっとさぁー」
譲が馬鹿にしたようにそう言った風に私には聞こえたから、死にたくなった。
友達って…本当の友達って一体何?これが本当の友達だと言うのならば、そんな友達…私はいらない。一方的に責めてこちらの話を聞くつもりなんてないじゃない。
それは空に大輪の花火が巻き散らされたとの同時だった――――。
「静綺――」
少しだけ掠れた声で、私の名前を呼ぶ。
その片手が私の肩へ回されて、ふわりと彼の香水の匂いが香る。
振り返って、肩越しに彼の顔を見ると優しい顔をして柔らかく微笑んだ。
「もう、話終わった?俺待ちくたびれちゃったよ」
信じられない程優しい口調だった。
そして彼は私の肩に手を回したまま、目の前にいるしおり達へと柔らかい笑顔を見せる。
「こんばんは。静綺に車で待っていてって言われたんだけど、心配すぎてついつい来ちゃった。
静綺のお友達だよね?初めまして」
いつもの声とはまるでトーンが違う。あんた誰?状態で頭の中がパニックになる。
笑顔を惜しみなく振りまく姫岡さんは変装用のマスクもサングラスもしていなかった。
「キャッ。姫岡真央?!本物?!」
姫岡さんに1番に気づいたのは、しおりだった。たっくんと譲も驚いたように眼を丸くする。
「え?何で姫岡真央がここに…?」
「静綺の知り合い?」
そして次に驚く事を彼は口にした。