「何だこれ?花火大会? つーか譲って誰だよ?!」
「ひっ!…いきなり後ろに立たないでよ?!
人の携帯を覗き見するなんて趣味が悪いですよ?」
携帯をソファーの上に置いて見えないように画面を伏せると、姫岡さんは不服そうに隣にどかりと腰を下ろした。
さっき手渡されたボタンの全て外れたシャツを押し付ける。別にこの寮の家事全般が私の仕事だからどうでも良いんだけど、さすがに全部ボタンの外れたシャツに1個ずつちまちまボタン付けをしていたら苛々した。
こいつまさか私の仕事を増やすためにわざとやったんじゃないでしょうね?
けれどそれを両手で広げて姫岡さんは満足そうに笑う。
子供っぽく笑う時は嬉しい時で、何故か憎めないから不思議な男だ。
「ところで…し…」
「し?」
「し、し、シルクロードってなんだっけ?」
「…どっかの国を結ぶ道の事ですよね。
それが何か?」
「べ、別に! ちょっと気になったから聞いただけだ」
ググれよ。全く変な奴だ。
「ところで’譲’とは誰だ?まさかのまさか……お前の彼氏か?まさかお前のような人間に彼氏がいるとは思えないが」
しっかり見られていたのが気分が悪いわよ。
彼氏がいないって決めつけられているのももっと気分が悪いけど、まあ…確かにいないけど。
わざわざ姫岡さんに詮索される事じゃないし。あ~あ~面倒くさい。
「私の彼氏です」
「かッ…!」



