「ぷっ。」

豊さんがそのやり取りに吹き出して、姫岡さんは満足そうに鼻歌を歌いながらソファーへ戻って行った。

ばちりと豊さんと目が合うと、柔らかく微笑む。

「可笑しいですよね?どーゆー着方したらこんなボタンの取れ方がするんでしょうか?」

呆れながら言うと、豊さんはブハッとまた吹き出した。

「静綺ちゃんって天然?」

「いえ…どっちかというと自分はしっかりしている方だと思いますけど…」

え。今私豊さんに馬鹿にされている?

「ふ。じゃあ、鈍感だ?
ボタンよろしくね。」

そう言って背中を見せた。
一体何を言っているのだろう。天然とも鈍感とも言われた事はない。

大体天然ならば姫岡さんだろう。天然記念物なみに天然なんだから。

急いで朝ご飯を作って、豊さんから頼まれたボタンをつけて、皆が仕事に行くのを見送った。
それにしても何だかんだ仕事があって忙しそうだ。瑠璃さんは現在番組のロケで大阪に泊まっている。

深夜枠のバラエティー番組らしいが、録画はしようと思う。いっつも見ている人がテレビに映っているって不思議な感じだし、今からオンエアが楽しみである。

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そのメッセージを受信したのは突然だった。思いもしなかった人からの、久しぶりの連絡に戸惑いが隠せなかった。

返信のメッセージを作りは消して、結局まだ遅れずじまいだった。

朝ご飯を食べる気にもなれずに携帯を何度も見てはメッセージのチェック。けれど返信しようとすればするほどに指が動かなくなる。

はぁ~…大きなため息をついて再び携帯の画面を覗き込む。