後ろを向いた姿。表情は見えなかったけれど、耳が真っ赤になっていた。
あぁ照れているのね。褒められるのが苦手な人だっけ。
そしてこちらから顔を背けたまま言った。

「もしも頬の傷の痕が残るようだったら責任は取る。」

「責任って…大袈裟だってばぁ~。それにもしも傷が残ってもメイクで隠せるだろうし~」

「ブスの上に顔に傷まで負ったらお前に貰い手なんて一生見つかんねぇだろ。そうなったら一生責任は取ってやる。
大いに勘弁して欲しい所だがな」

「ぷっ。あはは、貰い手とか一生責任とってやるなんてあんた本当に大袈裟だねぇ。
まるで結婚してやるって言ってるみたい。ウケる。あはは」

’誰がお前と結婚なんか!’と返してくると思ってワクワクしていると、姫岡さんはなおも車から窓の外を見るばかりだった。

車内は暗くて良く分からなかったが、車の鏡に映った姫岡さんは何とも言えない顔をしていて、顔は茹でだこみたいに真っ赤になっている。

ドキン。

心臓が高鳴ったのと同時にさっきまで触られていた頬が段々と熱を帯びてくる。