涙の先にあるのは、きっと

「何でもないよ!またいつもみたいに喧嘩しただけ」

私が家族にされていることは、友達には内緒にしている。もちろん愛ちゃんにだって。だから、友達の多くは「亜梨沙ん家の親って厳しい!」って言ってる。確かに私にだけ厳しい。

「本当に?一昨日も喧嘩してたじゃない」

愛ちゃんだけはそうやって私の心を覗こうとする。それが怖くても嬉しいと思っている自分がいた。でも、このことを話したらどうなるかわからない。

「何でもないって!それよりほら、今日は音楽でリコーダーのテストがあるでしょ?」

私は慌てて話題を変える。すると愛ちゃんは「自信ないよ〜!絶対変な音出るって!」と言い笑う。私もつられて笑った。

私の流した涙が、いつか虹となり世界を照らせたらいいのに。それが大切な人たちを守る光となるなら、悲しい涙を何度流しても立ち上がれる気がする。

涙、涙、涙の毎日でも、隣で愛ちゃんと笑い合えるならーーー。



私の唯一の居場所である学校が終わり、今日は部活がないため一人で歩いて帰る。

ふと、通りのお店の前で足を止めた。ショーウィンドウに自分が映っている。