涙の先にあるのは、きっと

私が振り向くと、亮平はニタニタと意地の悪い笑みを浮かべていた。お父さんたちも「よく言った」と亮平を褒め、私を亮平と同じような目で見つめる。

私は何も言わずに家を飛び出した。涙が止めどなくあふれて、裏路地へと駆け込む。息が苦しくなって、手足が痺れて立てなくなった。過呼吸だ。

荒い呼吸を繰り返していると、胸が締め付けられるように痛くなっていく。このまま死ねたらいいのに、と私は何度も思った。

私は弟の亮平が生まれてからあんな風に冷たくされるようになってしまった。お父さんたちは男の子がずっとほしかったらしい。だから、待望の男の子である亮平は甘やかされ、逆に私は冷たくされて育った。

亮平は習い事をさせてもらえるけど、私は周りの子が習っていたピアノもスイミングも習わせてもらえなかった。お金の無駄だって言って……。

いつの間にか、私の食事は用意されなくなっていた。「自分で用意しなさい」って言われたけど、冷蔵庫の食材を使うことは禁止されている。だから、お年玉を少しずつ使ってコンビニのおにぎりなどを食べて生きていた。温かいご飯なんて、もうずっと食べていない。